なぜか夏の歌もやっておきたいということで、Summer Dayが流れ出した。
これ結構好きなんだけど1、やってくれることもないだろうと思ってたから嬉しかった。
ところがボヤっと喜んでいる場合じゃなくなった。
ついに3人が客席に降りて歩き出したのである。
しかもこちらに向かってくるのは長野くんだった。
それを理解した途端、心臓が数拍すっ飛ばした。
長野くんが最前列のテーブルの人々と触れ合い出すと、突然脳が思いきりバグり始めた。
「長野くんがこっち来る!!!!?!」としか思考することが出来なくなり、後光差すロイヤルスマイルで歩み来る長野くんをまるで静止画をコマ送りしているかのように切れ切れにしか認識出来なくなった。
今どこを誰が歌っているのか、というか結構な音量のはずのバンド演奏もまったく耳に入ってこない。
右端から中央寄り2~3卓くらいの方々の手に触れながら、長野くんがこちらに歩いて来ているらしかった。
体感では瞬きも忘れて見つめてるはずなのに、0.1秒見たら2~3秒目つぶってんのかってくらいブツ切りにしか認識されなかった。
写せ視神経。
そんな感じでいたらいつの間にやら、思いっきりニッコリしてる長野くんがわたしたちのテーブルの方に接近していた。
「あ、もう、」と思ったところで脳がフリーズした。
そして数秒吹っ飛んだ次の瞬間にはわたしたちのテーブルに長野神が降臨していた。
その尊き歩みは時計回り、紛れもなくわたしのいる方に向いていた。
ちゃんと来てくれるんだと感動したのも束の間、またもや脳がフリーズした。
気づいたらわたしは右手を掲げていた。
自分のことながらいつ手を挙げたのか知らないが、ともかくわたしの番が来たらしい。
緊張とかやばいとか来たぞとか手汗がとかなんとか、そういうのはここまで来たらもう意識に上らなかった。
どういうわけだかまったくの無の境地だった。
今思えば自分の顔には笑みのかけらすらもなかったと思う。
どんな面してたんだかとても心配である。
そしてついにその時は来た。
長野くんの手のひらとわたしの手のひらがもち。と重なったその瞬間、完全に脳が処理落ちした。
手のひらが全神経を持ってったのかもしれない。
鮮烈な手のひらの感覚だけを残して他すべての感覚がシャットアウトされ、数秒目の前が真っ暗になった。(マジ)
目が合ったとか表情やつや玉がどうだったとか、そういうことは一切認識されなかった。
もはや手のひらだけの存在だったかのように、長野くん本体の存在を感じ取ることもなぜか出来なかった。
未だに自分でも何が起きたか本当にわけがわからない。
だけどとにかく右手がもっちり温かいものに触れた、それだけは確かだった。
やっと脳が再起動し出した時にはもう長野くんがわたしたちのテーブルから離れようとしているところだった。
わたしの脳には高負荷すぎたらしい手のひらが重なった瞬間の鮮やかな感触は、「ぽん」でも「トン」でも「ちょん」でもないのはもちろん、「むに」でも「ふわ」などでもなく、なんなら「もちっ」とかでもなく、「もち。」だった。
もし手首にマイクがついていたら音が拾えたんじゃないだろうかと思うくらいだった。
もち。もち。もち。もち。もち。もち。と、しっとりふっくらもっちりと温かい白パンで出来た手型ハンコを押すかのようにして差し出される手に次々触れて遠ざかっていく長野くん。
あれは“ハイタッチ”ではない。
なんて言ったらいいかわからない、ほんの一瞬のことなのだけど、間違いなく“手のひらを重ね合わせた”という感覚だった。
しかしあれは本当に“手のひら”だったのか???
比喩とかではなくほんとに口半開きの間抜け面でぽかんとしてたら、同卓のいのちゃんまんのお姉さま(言い方)が長野くんとタッチした?!みたいなこと聞いてくださって我に返った。
思いっきり紫の女だったし、ひどく呆然としてたから声かけてくれたのかも(笑)
思わずめっちゃ笑顔でうなずいちゃったらお姉さまも笑顔でよかった!みたいな感じで、なんかそれも嬉しかったなあ。
このちょっとしたやり取りによって脳が活性化して、長野くんと触れた右手だけぽかぽかしてることに今さらのように気づいた。
まるで体温を分けてもらったみたいだと思った。
長野くんの手めっちゃ肉厚…あったかかった…優しかった…しっとりしてた…もっちりしてた…吸いつくような保水力高い感じだった…てかほんとに触れちゃったんだ…などなど、次第に脳内処理が追いついてきたけど、残念ながら失われた映像記憶はひとつも戻らなかった。
だけど長野くんがあのほんのわずかなごく一瞬に「もち。」というちょっと不思議な感覚とともにいつまでも肌に残るほどの優しい温もりを直接手渡してくれたんだなと思ったら、なんかもうただただ幸せすぎて。
そりゃキャパオーバーするわって感じ。
長野くん圧倒的聖母だもん…
相変わらず耳は仕事してないし、坂本くんと井ノ原くんの存在も完全に忘れ去って、長野くんがバクステに辿り着くまで優しさともっちり感あふれるその手に触れた人々にぽわぽわ、もとい、ポメポメした幸せがじんわりと広がってく様をただひたすら目に焼きつけた。
(´ε`)あっという間に、最前列ですね。
にっこりする井ノ原くんの優しく甘い声がして、やっと意識が正常に戻っていくのがわかった。
- 長野くんの「バ~ボンのチェ~・イ~・サーに♡」と井ノ原くんの「まるでェ⤴」がなんかやたら好き。坂本くんも「細かいことは気~にすんな♪」って言ってくれるし[↩]